コンサートやイベントのキャンセルが長期化、大衆音楽界に「廃業の津波」が押し寄せるか
2020/07/16 10:45
新型コロナの拡散により、コンサートやイベントのキャンセル事態が長期化しており、大衆音楽界が枯死の危機に瀕している。音楽家と所属事務所はもとより、公演企画会社、関連機器メーカーまでがドミノのように崩れるかもしれないという危機感が業界に広がっている。
実際、14日、音楽界によると、20年の歴史の中堅音響メーカー・A社は、最近廃業届を出した。他の音響、照明機器メーカーも60%以上が事実上廃業待ちの状態であることが分かった。業界では、「基礎芸術、純粋芸術に集中した現行の支援システムの死角地帯を改善する議論が急がれる」という声が出ている。
●事実上の廃業ドミノ…「コンサートだけが風楽扱い」の不満の声も
公演音響機器レンタル会社であるB社社員のキム・ヒョンミョン(仮名・35)氏は、3カ月間休業状態となっている。メーカーは新型コロナで2月中旬以降、全国の公演が「全て中止」となり、給与の支払いを停止した。最年少の従業員から年次別に逆順で給料を支給したが、ついにほぼすべての従業員を休業させている。キム氏は、これまで貯めておいたお金が底をつき、家族のために宅配の仕事をして過ごしている。
音響メーカー・Pサウンドの関係者は、「廃業届さえ出さなかっただけで、代表一人だけが残って事業者のみ維持している、事実上廃業状態の会社が大多数である。公演機器のレンタルと設置業者は、他のコンサート企画会社や歌手の所属事務所と違って、舞台芸術支援対象にも該当せず、なおさら厳しい。公演芸能企業に準ずる支援対策を政府が用意してほしい」と話した。さらに「1000席規模のクラシックやミュージカル公演はいくつか行っているのに、歌手たちのコンサートは、『この時局に風楽か」と後ろ指をさされてキャンセルされることも頻繁である」と付け加えた。
新型コロナ以降、政府傘下の文化機関や様々な文化財団からの緊急支援金と支援事業公募が続いたが、大衆音楽にはケチだという指摘が出ている。とあるインディーレーベルの関係者は、「出勤すれば、様々な文化財団と音楽創作支援センターのお知らせ事項欄を確認して、願書を書くのが日常となっている」とし、「縁故もない地域の文化財団まで叩いても、公募の結果を見れば、クラシックに支援金が集まることが多く、気が抜ける」と話した。インディミュージシャンたちは次々と公演がキャンセルされ、芸術活動を証明すること自体が難しく、生活安定資金などの支援を受けにくいと訴える。
●オンラインコンサートの効果、防疫と進行の公平性にも「首をかしげる」
政府や文化財団から支援する「オンラインコンサート」の実効性にも疑問を提起する声が高い。いくつかの機関では、新型コロナ以降、急いでユーチューブにチャンネルを開設して宣伝効果が事実上全くないことが頻繁にあるからだ。匿名を求めたとあるレコード会社の関係者は、「50万〜100万ウォン、あるいは『ノーギャラ』でオンラインコンサートに出演した後は、該当機関のコロナ支援事業の広報に動員されたような気がする時もある」と打ち明けた。
弘益(ホンイク)大学近くの小規模クラブの登録形態のために笑えないことも起きる。「ナイトライフクラブ」に登録されたところは梨泰院(イテウォン)での拡散事態以降休業中だが、「一般飲食店」となっているところは、毎週公演を行っている。政府の防疫物品は「公演会場」として登録された場所だけに支援される。したがって、互いに似たような規模のクラブでも、「会場」に割り当てられた消毒薬のうち残る分量を近所の「一般飲食店」型のクラブで頼んで使用することもあるというのが業界の話だ。シン・ジョンギル韓国音楽レーベル産業協会事務局長は、「実質的な運営形態を考慮した新たな公演会場の認証制度を再考して、純粋芸術と大衆芸術が混在する支援申請の基準を明確に整理する必要がある」と語った。